著者の藤崎彩織（さおり）さんは、

SEKAI NO OWARI（セカオワ）のsaoriさんです。

初めての小説で直木賞候補になったというので、

興味津々で読みました。

自叙伝的な要素がたっぷり入っているようですが、

どこまでがノンフィクションで、

どこからがフィクションなのか、

さっぱりわかりません。

音大に通いながらバンドのキーボードをしてる私「なっちゃん」。

なっちゃんの先輩で、バンドを束ねる「月島」。

ビルの地下室での共同生活。

以前にテレビのドキュメンタリー番組で見た、

セカオワの特集とそっくりの設定です。

小説としても楽しめるし、

実話だとすれば、

セカオワをさらに知るきっかけになりますね。

なっちゃんと月島の微妙な関係も気になりますが、

小説の中で特に私好みだったのは、

なっちゃんが音大受験前に猛練習している場面と、

「なっちゃん、ピアノずれてるよ」と月島に指摘される場面です。

「休みの日は、1日8時間は練習したい。」

「まずはスケールとアルペジオ。長調と短調を全て弾くと、大体20分くらいかかる。」

（なっちゃん、ピアノずれてるよ）

（何でずれてるの、分からないの）

「月島の指摘に、カチンときた。私は15年もピアノを弾いているのだから、ずれていれば当然分かるはずだ。・・・」

このストレートな気持ちの表現が素敵です。

感想はこんなところで。