私はいつも患者さんに、

「更年期症状は病気じゃないから、

HRT（ホルモン補充療法）するかどうかは自分で決めましょうね。」

とお願いしてます。

産婦人科の用語集によると、

更年期症状で日常生活に支障を来す病態を「更年期障害」と定義してます。

そうすると、

更年期「症状」は病気ではないけど、

更年期「障害」は病気ってこと？と混乱しそうですね。

いずれにしても、

QOL（生活の質）を保って生活できることが大切なので、

生活に支障がでるようなら治療をした方がよいと思います。

更年期障害はHRTがとてもよく効きます。

HRTは更年期症状・障害の緩和や治療だけでなく、

骨粗鬆症予防、脂質異常症の改善、動脈硬化の予防などなど、

体にいいこと盛りだくさんです。

「更年期に起こる様々な症状は病気だからHRTで治療しましょう。」という考え方もあります。

HRTを推奨する目的はQOLの向上だけでなく、

他の疾患の予防もできるからです。

全くその通りで、

私もかつては「全ての女性にHRTを！」なんて叫んでましたし、

今でもHRTの大ファンであることに変わりはないのですが、

乳がんの患者さんが増えてきたことから、

少しずつ考え方が変わってきました。

15年前に開業当時は26人に1人の割合でしたが、

今は11人に1人が乳がんになります。

乳がんになったらHRTができませんから、

更年期障害あっても別の方法で対応しなければなりません。

病気だ病気だと思うと気持ちも暗くなります。

だから「更年期症状や更年期障害は病気じゃないよ～～」と言いたくなるのです。