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院長ブログ

<Q&Aでよくわかる「子宮体がん」>本の紹介

一般向けの医学書はたくさん出てますが、間違いがあったり、わかりにくかったりで、紹介できるものは少ないのですが、この本は★5個です。

2018年11月発行、最新の正しい情報がしっかり詰まってます。

わかりやすいだけでなく、低用量ピルが予防になることもしっかり書いてあって、どこかで読んだような文章だと思ったら、市川善仁(よしひと)先生の本でした。

市川先生は、2014年に『女性なら知っておきたい「遺伝性がん」のこと』を上梓してます。この本を読んだ時、がんの予防について正確にはっきりと書いていることに感動しました。当時は、アンジェリーナ・ジョリーが遺伝性乳がん・卵巣がん症候群で乳房と卵巣・卵管を切除したことが話題になってた頃でした。

今回の書籍は子宮体がんについてですが、アンジェリーナ・ジョリーの言葉も紹介してます。

「自身のリスクを正確に知り、それに適した予防対策をとることが重要!」

私たち開業医は手術や治療に携わることはないですが、「予防」「早期発見」「治療後の副作用対応」は我々の仕事です。

<子宮体がんの予防>

  • 高脂肪・高カロリー食の制限
  • 運動
  • 肥満の予防(脂肪細胞でエストロゲンが産生されます)
  • 低用量ピル ⇒子宮内膜へのエストロゲンの持続的な刺激が避けられ、子宮体がんの発症予防になる
  • ミレーナ(黄体ホルモンが付着した子宮内システム)

低用量ピルやミレーナが子宮体がんの予防になるという話は、ブログでも何度か書いてきました。

日本人の生活様式が変わり、妊娠・出産の回数も減って、子宮体がんは10年前の2倍以上に増え、さらに増え続けてます。

比較的予後がいいがんと言われてますが、予防できる方法があるので、妊娠希望がない方には積極的にピルやミレーナをお勧めします。

<早期発見>

一般的に子宮がん検診といえば「子宮頸がん検査」のことをさします。

次のような症状がある場合は、「子宮体がん検査(子宮内膜細胞診)」も受けることを考慮してください。

  • 閉経後の不正出血
  • 50歳以上の不正出血
  • 35歳以上の未産婦(出産の経験がない)で、不正出血があり月経が不規則
  • 医師が子宮体がん検査も必要と認めた場合(子宮肥大、内膜の肥厚など)

子宮内膜細胞診だけでは早期発見が難しいケースもあるので、超音波検査なども行います。

<治療後の副作用対策>

手術では、子宮だけでなく卵巣も摘出することがあります。

それは、子宮体がんだけだなく、子宮頸がんや卵巣がんも同じですが、両側の卵巣を摘出すると、術後に更年期障害を起こすことがあります。

子宮体がんの原因にはエストロゲンが関係すると言われてますが、手術で子宮を全部取ってしまえば、ホルモン補充療法(エストロゲンの補充)ができます。ただし患者さんそれぞれの病態によります。

以上、特に予防と早期発見は開業医が頑張らなければならないところです。

あっ、忘れるところでした。ここではご紹介しませんが、『Q&Aでよくわかる「子宮体がん」』には検査や治療のことが詳しく分かりやすく書かれてます。難しい本ではないので、お読みいただき体がんへの理解を深めてください。

 カテゴリー:がん(予防、検診、治療) , 読書、本  2019年04月06日

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