大柴胡湯（だいさいことう）は私の好きな漢方の一つです。

効能をみると、胆石症、胆のう炎、黄疸、肝機能障害、高血圧症、脳溢血、じんましん、胃酸過多症、急性胃腸カタル、悪心・嘔吐、食職不振、痔、糖尿病、ノイローゼ、不眠症と書いてあります。

いったいどんな患者さんが飲むんだろうって思いますよね。

しかも、比較的体力のある人で、便秘がちで、上腹部が張って苦しく、耳鳴り、肩こりなどを伴うものとなれば、当てはまる患者さんはすごく少なくなってしまいます。

ところが、大柴胡湯はとても使いやすい漢方なんです。

便秘または便秘傾向の方に使いますが、大黄（だいおう）という下剤作用のある薬草の量が1gと少ないので、効きすぎて下すとかお腹が痛くなるということはないようです。

もちろん便の様子で、1日2～3回服用の調節をしてもらいます。

もともとは発熱、感染症に使う漢方ですが、ストレスに有効で、不眠・緊張・イライラなどに使います。

こういうことろが、漢方の面白いところです。

気持ちを鎮めたり、緊張を取る作用があるので、ストレスでイライラするとか、夜眠れないという方で、上腹部が張っている方に使います。

効いているかどうかは、まず便が気持ちよく出るようになったかです。

不思議と、便通が整うと不眠も解消されてよく眠れるようです。

また、胃のあたりが張るとか、吐き気がするなどの症状にも使うことがあります。この場合も便秘の方が対象です。