更年期症状で受診された患者さんには、まずHRT（ホルモン補充療法）をご提案します。

（ただし、HRTができない方、不向きな方もいますので、全員にすすめるわけではありません。）

続けるかどうかはお試ししてから考えればいいと思うのですが、最初から乳がんが心配だからHRTはしたくないという方がいます。

乳がんが心配？

11人に1人が乳がんになる時代です。

HRTする、しないに関わらず、約1割の方が乳がんになる可能性があるわけです。

とにかく検診を受けることが重要です。

乳がんは定期的に検診を受けていれば早期発見が可能なので、何も怖がることはありません。

それでは、HRTによる乳がんリスクはどのくらいなのでしょうか？

HRTを5年以上続けると乳がんのリスクが少し上がると言われてます（1.26倍）。

また、こんなことでも乳がんリスクは上がります。

フライドポテトを週に1パック多く摂取する⇒　1.27

ビールを1日大瓶1本以上摂取⇒　1.75

閉経前の体重増加⇒　約2倍

このような数字を見ると、5年以上のHRTによる乳がんリスクをどう思いますか？

HRTは骨粗しょう症の予防、動脈硬化の予防、大腸がんのリスク低下など、メリットもたくさんあります。

それから、子宮のない方ではエストロゲンだけを使いますが、それでは乳がんリスクは上がりません。

当院でHRTをされてる患者さんは、年1回の乳がん検診は必須です。

私たち産婦人科医の仕事は「安全なHRT」を提供し、「安全に管理」することだと考えてます。