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院長ブログ

月経困難症<早期介入の重要性>その1

学校医とは、小・中・高校生などの健診や健康管理に携わる医師のことです。

学校医として学校保健に携わっているのは、内科、小児科、耳鼻科、眼科医などですが、横浜市医師会では、2年前から、産婦人科、整形外科、精神科、皮膚科医なども、学校医部会のメンバーに加わり活動をするようになりました。

年3回の会議や研修などの他に、「学校医部会レポート」という冊子を毎年作成しています。

今年度は産婦人科に依頼があったので執筆しました。

学校医(医師)向けの内容なので、少し難しいかもしれませんが、皆さんのお役に立つ内容だと思うので、何回かに分けながらご紹介します。

尚、原稿は「である」で統一でしたので、そのまま転載します。


横浜市医師会 学校医部会レポート第35号 論考

「月経困難症-早期介入の重要性-」その1

はじめに

産婦人科の臨床現場では「もっと早く受診して欲しかった」と思う20~30歳代の患者さんにしばしば出会う。

月経痛を市販の鎮痛薬で対応していたが、我慢できなくなり受診、診断は重症の子宮内膜症で、しかも妊娠希望となると治療は相当に難航する。

また、不妊症で受診した患者さんに卵巣チョコレート嚢胞(卵巣子宮内膜症性嚢胞)が見つかることは珍しいことではないが、精査の結果、卵巣癌と診断され、妊娠を諦めざるを得なかったケース。

この方も10代の頃から月経痛があったが産婦人科を受診する機会がなかったという。

このような経験から月経困難症への早期介入の重要性を感じている。

月経困難症は疼痛による日常生活への影響だけでなく、子宮内膜症との関連性が指摘されている。

子宮内膜症は妊孕能を低下させ、卵巣チョコレート嚢胞は癌化のリスクを伴う。

月経困難症~子宮内膜症は、現代日本女性の生活と将来を脅かす疾患であり、特に思春期の月経困難症を放置することなく早期介入することで、将来起こりうる疾患を予防していくことが重要である。

<月経困難症>

月経困難症は月経に随伴して起こる病的症状と定義され、下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、嘔気、頭痛、下痢など様々な症状がある。

その中で最も頻度が多いものが、いわゆる月経痛と呼ばれている下腹部痛である。

月経困難症には機能性月経困難症と器質性月経困難症がある。

機能性月経困難症の原因としては、プロスタグランジン(PG)や頸管狭小などがあり、器質性月経困難症の原因として子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、子宮形態異常などがある(表1)。

ここでは、PGと子宮内膜症について解説する。

(つづく)

 カテゴリー:低用量ピル、月経  2020年03月10日

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