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院長ブログ

9価HPVワクチン販売承認取得

9価HPVワクチンの販売がようやく承認されました。

HPV(ヒトパピローマウイルス)は子宮頸がんなどの原因となるウイルスで、9価ワクチンは9種類のHPVを予防できるワクチンです。

世界では2014年に米国で初めて承認され、すでに80以上の国と地域で承認されています。

まだ、販売の時期は決まってませんし、予防接種法に基づく「定期接種」のワクチンではありませんが、販売承認はビックニュースです。

申請後5年も経過していて、もう承認は無理と半ば諦めかけていただけに、嬉しさもひとしおです。

*販売時期はまだ決まっていません。

2価、4価、9価って?

子宮頸がんの原因となるHPVは13種類くらいあります。

2価ワクチン(サーバリックス)は16型、18型の2種類のHPV感染を予防します。

16/18型は悪性度が高く、進行も早いので、この2種類を予防するだけで、子宮頸がん全体の6~7割を予防できます。さらに、20代の子宮頸がんの9割が予防できると言われてます。

4価ワクチン(ガーダシル)は、16/18型に加えて、6型、11型のHPV感染も予防します。

6/11型は尖圭コンジローマの原因となるウイルスで、ガーダシルは子宮頸がんだけでなく尖圭コンジローマも予防できるワクチンです。

9価ワクチン(シルガード9)は、6/11/16/18に加えて、31、33、45、52、58型を予防します。

この5つのHPVは子宮頸がんの原因となるHPVで、9価ワクチンで子宮頸がん全体の9割の予防が可能です。

 

「定期接種」にはならないの?

2価と4価のHPVワクチンは、予防接種法に基づく「定期接種」のワクチンです。

小学6年生~高校1年生相当の女子は無料で接種できます。

残念ながら、今回販売承認された9価ワクチンは、まだ定期接種のワクチンにはなってません。

7月21日に、HPVワクチン積極的勧奨再開を目指す議員連盟(会長=細田博之、幹事長=三原じゅん子)が、「9価HPVワクチンの定期接種化の実現」の要望書を厚労省に提出しました。

世界では9価ワクチンが主流で、オーストラリアでは男子への接種も行われています。

日本でも、いずれ9価ワクチンも定期接種のワクチンとして承認されるはずですが、今年度は厳しいと思いますので、高1年女子の方は早めに接種を始めてください。

3回接種で6カ月かかります。

夏休み中に1回目の接種をすることをお勧めします。

 

安全性は大丈夫なの?

HPVワクチンの積極的接種勧奨の差し控えにより、7割以上の接種率がほぼ0%まで落ち込んでしまいました。

「多様な症状」とHPVワクチンとの因果関係は証明されず、世界でも安全なワクチンとして接種されています。

いまだ日本では毎年1万人の女性が新たに子宮頸がんにかかり、約2800人が亡くなっています。

子宮頸がんで子宮を失い、命を落とすことがないように、HPVワクチン接種をお願いします。

 カテゴリー:がん(予防、検診、治療)  2020年08月11日

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